【ヨガ本】 「全ての宗教の行きつく先(最高梵 パラブラフマン)は一緒だ!」 インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯
3つの宗教を極めたヨガ聖者
引用から始めます
彼と話をしたイスラム教徒は、ラーマクリシュナはイスラム教の聖者だ」と言う。
クリスチャンは、「ラーマクリシュナはキリスト教の聖人だ」と言う。
ヒンドゥー教の中の各派の信者たちはみな、
「ラーマクリシュナは私と同じ宗派の大覚者だ」と言う。
インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉/著
ヨガで悟りの境地に達しただけでなく、イスラム教でも、キリスト教でも悟りの境地を経験しと体験した人がいると知った驚きと、私が求めていた答えがあるのではと感じ、この本を購入しました。
どの宗教に入れば救われるのか?
過去に宗教に勧誘されたとき、「~教に入らないと救われないよ」「~教に入らないと天国にいけないよ」と言われる(脅される)ことがありました。
じゃあ、地理的・機会的な理由でその宗教に出会うことがなかった人は「みんな地獄に行くのか?」、その脅しは公平じゃないし、こうやって他を排除するのが宗教なのか?と常々感じていました。
私の今やっているヨガも、ベースはヒンドゥ教だと思いますが、宗教の垣根がないヨガであるコトも大きな魅力。
信じるもの・考えは人それぞれなのに、自分の信じるモノだけが正しいと思うのは傲慢だと思います。
文化に優劣がないように、宗教にも優劣はないのではないか?をどうにかして証明できないのか、といつも心の中で思っていました。
ココでカルト宗教などは除外します。
それを身を持って実践し、証明したのが「聖ラーマクリシュナ」でした。
やったー!
まずはイスラム教
ラーマクリシュナは師のトータブリの力を借りて、師が40年かかって到達したブラフマン(最高の悟り)に、たった一日で到達してしまいます。
悟りの天才だな
そして、ヒンドゥ教での学びを終えてしまったラーマクリシュナは、他の宗教の真理を体験したくなります。
そこで、たまたま近くで見つけたイスラム教の真見(神)者の手引きでイスラム教の修行をはじめました。そして3日でイスラム教の神(無形)と一つになる。
現在でもヒンドゥ教徒とイスラム教徒は仇敵の間柄に似たような状態だが、ラーマクリシュナの体験したところによると、どちらの宗教から出発しても、その到達点は絶対者、無二、唯一なる者、無差別の最高梵(パラブラフマン)なのである。
インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉/著
次はキリスト教
イスラム教の悟りを得てから8年後。ラーマクリシュナは聖母マリアがイエスキリストを抱いている絵を見たことがきっかけで、キリスト教にどんどんひかれてしまいます。
そしてキリストの愛に浸りきった四日目の午後…
五聖樹の杜を歩いていると、澄み切った表情をした異様な姿の人物が彼をじっと見つめながら近づいてきた。彼は一目でその人が外国人であることを知った。その姿がまぢかに近づいたとき、彼の心の奥底から声がきこえたーー「これが人類の贖罪のために自らの血を流して苦悩したキリストだ!これは愛の化身である大ヨーガ行者、イエス以外の何物でもない!」
すると、人の子イエスは大実母(マー)の子ラーマクリシュナをその胸にしかと抱きしめ、二人は合体した。キリストはラーマクリシュナの中に入り、瞬間、彼は三昧に入り、すべての外界の意識を失った。この経験以来、彼はイエス・キリストが神の化身であることを信じて疑わなかった。
インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉/著
ここがポイント
そして、私が求める答えが返ってきます!
八年前にイスラム教体験をし、今またキリスト教を身をもって経験したラーマクリシュナは、結局すべての宗教は同様に真実であり、同じ目的をもち、同じことを教えようと努めている、それらの差異は、そこに達する方法と、民族の文化や人の知識程度による表現のちがいだけである、という確信をますます強めたのである。
インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉/著
スゴイよね、この度量の深さ、包容力。
たぶん、本来の宗教の形はこのような包容力だと思う。それを使う人間が「自分が正しい」ってなっちゃうから、宗教絡みで戦争をしたりするんじゃないだろうか。 宗教が利用されることもある。
世界中の人たちに、もっとラーマクリシュナの実践結果を知ってもらいたい。
みんな、最後は同じ場所を目指しているんだったら、些細な違いでケンカをする必要なんて無くなると思う。
これは、ガンジーの「無抵抗・無暴力」の実験(成功例)と同じくらい意味のある成功事例だと私は思っています。
その他
実は、この三つ宗教を収めた所で本の半分くらいなんです。
本自体は300ページちょっとで、ラーマクリシュナの生まれから生涯を追っていきます。
3つの宗教を収めたスゴイ人のはずのラーマクリシュナ大聖者ですが、日々の様子を知っていくと思いのほか、やんちゃで行動がお茶目なおじさん。
見た目もモンキー…お世話係の甥っ子が超フォローしまくっています。
「あるヨギの自叙伝」の著者であるパラマハンサ・ヨガナンダは、ちゃんと経営なども考えていたようですが、ラーマクリシュナはお金の管理とかできていないのに、誰かがお金の工面をしようとすると「なめんな!金なんていらねー!」とダッダッ子の様に怒りだします。
※「あるヨギの自叙伝」は、あのスティーブ・ジョブスが唯一電子書籍としてもっていた本だといわれています。
また、後継ぎの弟子を見つけると、ボーイズラブ顔負けにベタベタとアタックしまくります。
かなり人間臭さのある、味わい深い聖者(おっちゃん)です。
これは、パラマハンサ・ヨガナンダです。
作者
作者の田中嫺玉(かんぎょく)さんは、略歴を見る限り、大学を中退(終戦を機に)し、結婚して子どもを育ててから「ベンガル語」を学び、色々な本を翻訳したり著書を書いたりした人です。
著書の中にラーマクリシュナの「不滅の言葉(コタムリト)」や「バガヴァッド・ギータ」など重要な本もあって、ヨギーとしてはありがたい人物。
最後に
ヨガをやっていると、色んな聖者について知りたくなります。俺だけかな?
そこで、外せない人物のはラーマクリシュナ。多くの人(特にヨギー)に知ってもらいたい聖者。
そして、まずはイスラムやキリスト教以外の宗教を信じている人たちにも知ってもらいたいですね。
仏教の人にも読んでもらいたいので、作者の田中さんがどれだけラーマクリシュナが好きかわかる文書を引用して終わりにします。
インド四千年の宗教思想史には、数えきれないほどの、聖者、覚者、哲学者が現れ、ヒマラヤ山脈のような壮観さで世界を圧倒している。そして、その山なみのなかで、ひときわ高くそびえる三大巨峰はー
ゴータマ仏陀(おしゃかさま)
ラーマクリシュナ大覚者(1836~86)
である。
インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉/著