「トランプ勝利」と「イギリスEU脱退」そしてレバ刺し禁止。世界は炎上(商法)に包まれていくのか?
おりしも昨日見た「マネー ショート」の主要人物の内の地味な二人組の言葉(投資哲学)が頭に浮かんできた。
「人は凶事の確立を低く見積もっている」
「トランプ勝利」と「イギリスEU脱退」が凶事なのかはまだわからないが、日本にいると直前まで「何だかんだ言って、イギリスはEUを離脱するはずがない」「なんだかんだ言って、トランプが勝つはずがない」と多くの人が思っていたと思う。(私もそう)
で、結果はご存じの通り。
日本のマスコミも、「トランプは勝はずがない(勝ってほしくない)」と多くの人達が思っていたと感じる。
EUによるグローバル化(画一化)の波にのまれるイギリス、ヒスパニック系移民がたくさん入ってきて、白人がマジョリティから陥落しそうなアメリカ(その白人たちも同じようにアメリカ大陸に移民してきたんだけどね)。
彼らの閉塞感って、私達日本人が想像するより、もっと、もっと、もっと重篤なのかもしれない。
現場の温度ってそれほど伝わりにくいものなんだろう(逆もしかり)。
話を大統領選に戻すと、激戦区と言われたフロリダでトランプが勝利したことに違和感があった。
あれだけ移民排除を訴えたトランプがヒスパニック系が多いと言われているフロリダでなぜ勝利できたのだろうか?
この記事が一つの答えを出している。
「白人有権者を投票へと向かわせる影響力が、本当にトランプにあることを示している」
上記 ヒスパニックが多いフロリダ州で、トランプが逆転勝利した意味 より
白人は近い将来ヒスパニックに数では劣るであろうと予測されている。
もしかしたら、その白人たちの危機感が、トランプへの投票行動につながったかもしれないし、黒人であるオバマの長き8年間への忍耐、ヒラリーが日本人の予想を超えて嫌われている思いなども重なって、多くの人たちが投票所に足を運んだのかもしれない。
もちろん、アメリカの格差の問題(これが非常に深刻らしい)、ウォール街のやりたい放題(マネーショートを見て下さい)。そのウォール街とつながる既存の政治家たち(ヒラリー含む)。いろんな事が複合的に絡みあったのが、今回の選挙結果だったと思います。
8年前のオバマの選挙の時の「CHANGE(チェンジ)」が、そっくりそのまま「チェンジをチェンジ(もとに戻す)」と言っている様にも感じる。
つくづく、陰陽の考え方と言うか「強く押すと同じように強く押し返される」様に、この世の中ってバランスで保たれているのだと感じる。
それと、もう一つ面白い記事を見つけた。
トランプ人気には、アメリカ特有の知的伝統である「反知性主義」が原因ではないかと言っています。森本あんり(国際基督教大学の)副学長の言葉。
反知性主義とは
「トランプ人気の背景には、アメリカ特有の知的伝統である〈反知性主義〉があります。よく誤解されてしまうのですが、〈反知性主義=バカ〉ではありません。〈反知性主義〉とは、知性そのものへの反対ではなく、知性が権力と癒着して人々の生活に余計な口出しをすることへの反対です」
「〈反知性主義〉の原点はキリスト教にあります。イエス・キリストは、当時のユダヤ社会で特権階級化していた〈学者・パリサイ人〉を厳しく批判し、貧乏だろうが無学だろうが神の前ではみな平等であると主張しました。キリスト教の影響力が非常に強いアメリカでは、この宗教的な平等観が、ヒラリー・クリントンのような既成のエスタブリッシュメント批判に結びつきやすい」
ヒラリーがトランプに敗れた真の理由 キリスト教が生んだ「熱病」とは? デイリー新潮 より
※エスタブリッシュメント 支配階級・特権階級
そう考えると、アメリカ人は、日本のように「御上に任せておけば大丈夫」と言う感覚は無くて、「御上はできるだけ干渉してくれるな!」と言う考えが根底に流れている。
銃規制が進まないのも、アメリカ人たちは「御上(連邦政府)が圧政を行った場合には、国民自らが武器を取り連邦政府と戦う」と言う考えが根底にあるのも一つの要因なので、私たちの考え方とは大きく違っている。
私もコト「レバ刺し」に関しては「それこそ自己責任じゃないか!こんなことまで規制するのか!(怒)」と、レバ刺し反知性主義(余計な口出しするな)になりたくなる。
さらに、牛刺しも禁止・ステーキの焼き加減はミディアム以上(レア・ミディアムレアは禁止)なんて法律が出来ようもんなら、それに反対している暴言候補に投票してしまうかもしれない。 そうでもないかもしれないが。
※基本的に「自己責任」という言葉でなんでも片づけるのは好きではありません。
今回の選挙で、一つ可能性を感じたのは、有権者が本気を出せば選挙で結果つなげることが出来るということ。サイレントマジョリティの侮れない力強さ。
第二次世界大戦以降、世界のリーダーで、技術も進み、論理的で、民主主義のお手本である先進国アメリカと思っていたのが、
1776年の建国以来変わらずに持ち続けているアメリカの原型みたいな(ゴツゴツしたもの)を目の当たりにさせられたようにも感じます。
トランプが大統領に選ばれたことが、白人たちの断末魔の叫びだったのか、それともアメリカの良心の表れだったのかは、これからの4年間が証明してくれると思っている。
最後になるが、 今回のトランプ勝利は最大の「炎上商法」の最大成功事例だったように思える。
フィリピンの大統領選もそうだった。
これから先、世界は炎上でお互いを煽り立てていくのか、それともこれに懲りて、冷静さの必要性に気が付くのか。
「声の大きさ=人気」だけの世界にならないように、大きな声も、小さな声も拾えるような社会になるおうに、心穏やかに見守っていきたい。