【映画】最後は大逆転も暗澹たる気分になる、アメリカの格差問題が垣間見える!「マネー・ショート」
マネー ショートの【Short】 とは?
ショート = 空売り
株は安い時に買って、高くなって売る(高くなった分儲かる)方法と、
「この株これから絶対に下がる!」と思った時に、高い時に打って、安くなった時に買い戻す「空売り」と言う売買方法があります。
この映画は、アメリカの金融破たん(株が暴落する)にいち早く気が付いた人たちが、まわりに反対(バカに)されながらも「空売り」を仕掛けるドラマ。
結果は…みなさんご存じのリーマンショック。2007年のコトでした。
原作は、マイケル・ルイスさんのノンフィクション【世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち】(2010)
ネタバレ無しの内容紹介
ノンフィクションが原作なので、結果はすでに明らかですが、一人の男が金融業界の不正(と言うか詐欺だね)に気が付き「空売り」を仕掛けていく。
この「空売り」が複数の登場人物達をつなぎ(お互いには接点はない)、色々なことが明らかになりながら、破たんするまでの「Xデー」が描かれています。
シビアな内容ですが、この映画をポップな雰囲気にしているの演出が「第四の壁を越えていること」。
最近はやっているのかな?デットプールもそうらしいね。
「第四の壁」というのは【映画の世界】と【視聴者(観客)のいる現実世界】との壁のこと。
「壁越え」と言うのは、古畑任三郎がドラマの途中で急にコチラ(視聴者)に語りかけてくる場面、それのコトです。
ただでさえわかりにくい金融のことを、「はい 有名シェフが説明します」とか言って、サブプライムローンを粗悪な料理に例えたり、「(金髪)ねーちゃん」やら「経済学者」が出てきて急に説明が始まります。
まあ、金融業界はわざと「金融商品」を複雑にしていると思うんだけどね、わざと。
映画(俺の)プチ情報
「いらない!」っていう人もいるかもしれませんが、気がつたのでご紹介。
①メタリカとガンズアンドローゼスが流れる。←いらない? オレ大好き!
②日本食レストランのバックで徳永英明の曲が流れる。←「一番大事なひ~ぃとが」って曲
③ブラッドピットが映画の表紙になるほど重要な役ではない!
④村上春樹の文章引用がある。
【②と④】最近のアジア描写は中国(マーケットを意識して)ばかりで日本はスルーされるんだけど、この映画の日本びいきは嬉しい! ※「ベイマックス」と「ブレードランナー」も日本びいき!
最後に言いたいこと 邦題の「マネー・ショート 華麗なる大逆転」について。
邦題は「マネー・ショート 華麗なる大逆転」
原題は「The Big Short」
なのですが、邦題は「マネー ショート」。
となると「(どこかで)お金が不足しているのが問題の映画」と思われかねない。私はそうイメージしたよ。
まあ劇中、色んな人のお金が不足していきますが。
そんな話じゃない。繰り返しますが、あくまで「空売り」の話。
だったら「ストック ショート」でもいいのでは? ※ストック(株)
さらに、副題の「華麗なる~」もちょっと違和感。
映画を見てくれればわかるのですが、華麗(に見える)のは主人公以外の(詐欺金融商品に)踊らされている人たちであって、本人らはどちらかと言うと泥臭い。
「華麗なる~」なんて ギャッズビーか…
最後に(まとめ)
どちらかと言うと「映画(物語)的」にはグッドエンディングだけど、今生きている私たちにとっては「バッドエンディング」。
「これでいいのか…」と思わせる…思わずにはいられない。
見終わった後、まさかの「あのおっさん」がカッコいいと思ってしまう映画でした。
すぐキレるあのおじさんね。
「地球の裏側で起きたことが、関係ない自分にも影響する」やっかいなグローバル化の時代が到来しています。TPPで、アメリカが日本の金融や保険を狙っているとの話しも聞くので、ぜひ多くの人に見て欲しい映画です。
金融業界の奴らってホント、マッドマックスの悪役らと見た目とやり方が違うだけで、やっていることは全く同じ! 思いだして、怒りが湧いてきました。
日本は絶対にマッドマックスな金融・保険の国になってはダメだとおもいました。